睡眠と脳  

長年臨床をおこなっていますと、いろいろなケースに出会わせていただきます。

疲れ切ったご様子の方、痛みのためにしかめっ面の方、時間に追われてイライラされてらっしゃる方などさまざまです。

昨日は心と身体がくたくたになってらっしゃる方が来院されました。

3回目のご来院でしたが、僕が思ったような回復がみられません。

栄養状態はよさそう(笑)なんですが、筋肉の張りはなく、自覚症状にも大きな変化はみられませんでした。

問診のための会話でもちぐはぐで、会話がなりたちません。

カイロプラクティックでは扱わないような精神的トラブルではなく、何か気持ちがいっぱい いっぱいな感じがしていました。

脳がもっとも必要とする栄養分は、タンパク質や脂質です。心を動かすホルモンのほとんどはタンパク質からできています。

情報を受け取るレセプターもタンパク質ですし、ネットワークを作るシナプスには脂質が欠かせません。

その他、脳にはビタミンやカルシウムも欠かせません。

しかし、いくら栄養が満ち足りていても、五感から刺激を受けないことには、脳はネットワークを広げていくことはできません。

では、この患者さまには何が必要なのか?

 僕   「睡眠時間はどのぐらいでしょうか?」と、直観的に睡眠不足を疑いました。

患者さま 「毎日、4時間程度です。」と、連日連夜、家事と仕事に追われているご様子。

脳を活発に働かせるためには、睡眠も大切な要素です。私たちが夜になると眠くなるのは、脳が眠くなるからです。

特に、人間らしさをつくる大脳新皮質が眠りたがるんです。それだけ、目覚めているときの活動が激しいということです。

ドーパミンなどのホルモンは、日中にほとんど消費されます。無くなった分を貯蔵するのは睡眠中なんです。

寝不足が続くと消費に貯蔵が追いつかなくなるので、ドーパミン不足になってしまいます。

A10神経という快感を司る神経の活動は鈍くなって、前頭連合野は働かなくなります。

そして、気力も活力も失われてしまいます。

慢性的な睡眠不足では、身体を治す力さえもパワーダウンしてしまうということです。