他は是れ吾にあらず  

冬型の気圧配置の影響で、北陸と西日本の日本海側を中心に、明日18日にかけて大雪が続くとのことですから、地域の方々はどうぞお気を付け下さい。ここ大阪柏原市も冷え込みそうですので、温かくして過ごしましょう。

さて今日は、「ふっと心がかるくなる 禅の言葉」より、「他は是れ吾にあらず」をご紹介させていただきます。

他は是れ吾にあらず  (たはこれわれにあらず)

今日なすべきことを自分でやりきる

若き日の道元が宋のの天童山景寺にいたときのこと。ある日、典座(炊事係の長)の老師がキノコを並べて干しているのを見た道元は、老師の体を心配し、「ご自分でなさらずに、だれか若い者にやらせてはいかがですか」とことばをかけました。

老師は「他是不吾(他は是れ吾にあらず)」とするどい口調で答え、道元をはねつけました。「他人がしたのでは、わしがしたことにはならん」というわけです。

老師にとってはキノコを干す作務も大切な修行のひとつ。いま自分がやるべきだからやっているのであり、人にさせては修行にならないと主張したのです。

いまやるべきことは、自分がいちばんよく知っているはず。あなたが何かやろうとするとき、「いまやらなくても大丈夫」「だれかにやってもらえば」「そんなことしなくていい」など、いろいろ言ってくる人がいるかもしれません。

「他是不吾」には、「いま自分ができる限りのことをする」という意味もあります。人の助言や忠告はありがたいものですが、それに左右されず自分でやり通すことも、ときには必要です。

今年から勉強をはじめたコーチングは西洋で始まりましたが、東洋思想の禅の要素が含まれています。コーチはクライアントの問題を考えるのではありません。クライアントの意識に目をを向けていきます。

コーチは、答えはクライアント自身にあるということを尊重していますから、クライアントがその答えに気付くまで、コーチは話に耳を傾けながら質問していきます。

決して、「いまやらなくても大丈夫」「だれかにやってもらえば」「そんなことしなくていい」などというアドバイスや忠告をすることはしないのです。

今日の他是不吾は、「他人は他人」という自己中心的な意味ではなく、自分のための修行は自分でやらないと無意味だということなんでしょうね。答えは自分の中にある。