「旬の食材」  梨

お彼岸を過ぎて、朝晩が寒くなってきました。「暑さ寒さも彼岸まで・・・」とは、本当によくいったものですね。道を歩いていても、秋の匂いがしてきます。最近、「はい、おすそわけ。」と梨をいただくことが多く、毎日夕食後に楽しませていただいています。

ということで、今日ご紹介する旬の食材は、「梨 ナシ」です。

梨は、日本、中国、ヨーロッパ原産で、イタリアの中世のサレルノ医学校で使われた教科書には、「梨を食べれば小便、リンゴを食べれば大便。」とあります。

中国の古書にも「梨は大小便を利し、熱を去り、渇を止め、痰を開き、酒毒を解す」とあり、「百果の宗」と呼ばれていました。

漢の武帝は庭園に梨を植えたと言います。中国の北方は乾燥していて咽頭炎や気管支炎などを患う者が多く、それを予防するためだったとのこと。

梨を含んだ漢方薬の「雪梨膏」は、咽喉頭炎や気管支炎を伴って「声がれ」したときの特効薬です。実際にノドが痛いときや風邪のときに梨を食べると痛みが和らぎ、痰が出やすくなります。

中国の薬学の古典「本草網目」に、「梨は身体を冷やす働きがあり、種々の発熱性疾患に対して、解熱を促してくれる。」と記されています。

栄養素としては、果糖、リンゴ酸・クエン酸などの有機酸、ビタミン・ミネラル、精油などが、微量ながらバランスよく含まれているので、夏バテする時期の食欲増進や疲労回復薬としての薬効が期待できます。

また、肉料理の消化を促進してくれる消化酵素が含まれているので、肉食後のデザートにお薦めです。果実がザラザラした感じがするのは繊維の塊のためで、便秘にも効果があります。

最後に、歌舞伎界のことを「梨園」と呼ぶのは、唐の玄宗皇帝が梨のたくさんある庭園で、役者に芝居を教えたという故事からきていると言われています。