待ち遠しい

近年は桜の開花が早くなってきていますが、今年は3月上旬の“寒の戻り”によって気温の低い日が多くなったため桜のつぼみの生長が遅れているようです。

そのため、今年の西日本はゆっくりめの開花なるようで、特に関東と中部地方の開花シーズンはここ5年の中でも最も遅くなる見込みだそうです。

日本の春はまさに桜一色です。咲く前から開花予想をして今か今かと待ちわびて、咲き始めれば今日は何分咲きになったのか、風は吹かないか、雨は降らないかと気にかけて、昼に夜にと桜を愛でて過ごします。

桜が花を付けるのはわずか10日間ですが、その大切な1日1日を、人々は昔から胸に刻んできました。では、いつごろからこれほど桜が愛されるようになったのでしょうか。

日本最古の歴史書『古事記』には、“木花咲耶姫(このはなさくやひめ)”が登場し、これが桜の語源だといわれます。古くから、桜の開花は農作業の時期の目安になっていたそうです。

花見は『万葉集』にも登場しますが、“花見は桜”と決まったのも平安時代のことで、この時期に、野生の桜を都に移して鑑賞するようになったといいます。僕はこの野生種の代表格「山桜」が大好きです。

歴史学者の西山松之助氏によると、「おそらく世界中に日本以外“花見”という言葉はなく、“花見”という行動文化は日本独特のものらしい」(『江戸の花見』より)とのこと。

全国的に大変な今だからこそ、少しでも気持ちを明るくしてくれる桜の開花が待ち遠しいですね。