産声

出産時、お母さんは「産みの苦しみ」である陣痛を体験しますが、赤ちゃんも新世界に入り込んだ「生まれた苦しみ」を体験しています。
赤ちゃんは、お母さんの子宮内にいる間は、一定の温度に保たれ、外光も入ってこないし、羊水にくるまれて独特の環境下にいます。
必要な酸素と栄養は、お母さんから供給されます。赤ちゃんにとって「ヘソの緒」は、まさしく命綱です。
赤ちゃんは「オギャー!」と、いう元気な産声と共に、自力で酸素を取り入れようとします。実はこの瞬間に赤ちゃんの肺では大きな変化が起こります。
それまでは羊水が詰まっていた肺に、外気が入り込み、外の騒音や光にさらされたとたんに、空気に置き換えられるのです。これは大変な環境の変化がおきているということです。
その環境の変化に適応するのに時間がかかるでしょうし、その間は苦痛しか感じません。だから、生まれてから当分の間は苦しがって頻繁に泣くのです。
つまり、赤ちゃんはお腹が空いているわけでもなく、不満があるわけでもなく、わがままなわけでもなく、ただ苦しいから泣いているというわけです。ちょっとかわいそう・・・